2007年11月01日
石の寺 教林坊
長く続いた夏はもうすっかり過去になり、季節は秋へと移り変わっています。
そろそろ、今年の紅葉はどちらに行こうかと考え始めている方も多いのでは。
安土きぬがさ山にある、西国三十三札所観音正寺の子院の中で、現存する唯一の寺院が教林坊。
かくれ里の寺院として、ひそやかな紅葉の名所としても知られています。
10月からは、寺宝鬼の角と鬼の図の掛け軸を初公開。
一足(二足?)早い、紅葉のお知らせと寺宝を拝みに、初雫がおでかけしてきました。


教林坊は、605年に聖徳太子によって創建されたそうです。
寺名の教林は、太子が林の中で教えを説かれたというのに由来するのだそうです。
教林坊は安土駅からは徒歩50分。
自家用車を使われる場合は、国道8号線に案内板がでています。
新幹線の高架下付近から寺院のある集落に向かう細い道が伸びており、途中迷わないよう
小さな看板で案内されていきます。
今はまだまだ紅葉には早く、行き交う車もありませんでしたが、
もみじが十分に色づく頃には、僅かな道のりではありますが、譲り合いながら
駐車場に向かうことになるのでしょうか?
駐車場には、40台が駐車可。
その付近から、寺に向かって参道が続いています。
こちらのお寺は、今でこそ、立派に手入れされているのですが、長い間無住の状態が続き、
荒れ放題、朽ち放題だったそうです。
それを、現住職が町の力を借りつつ手入れをし、4年ほど前に現在の状態まで
復興されたのだそうです。


駐車場付近から伸びる参道の両脇には、鬼瓦が並べられています。
今回の寺宝の公開に合わせて、檀家さんたちが、あちこちから集めてこられた瓦なのだそうです。


参道の中ほどにある門には、竹でできた杖が置いてあります。
まだしばらく道が続くようです。



お寺へと繋がる道は、石段もありますが、それほど急でもなく、竹林の中を、心地よくあるくことができます。
そして、時折、仏教用語を優しい言葉で説明するものに出会います。少しずつ、仏教の世界へ誘われている気がします。




表門をくぐると、すぐに書院。こちらで料金を支払い、まず庭園へと案内されます。
僅かなアップダウンがあり、様々な方向から庭園が見渡せます。






庭園を進んでいくと、本堂に案内されていきます。



本堂には、実際に撫でることのできる文殊菩薩様。
延命一字写経、石にお経の中に書かれている好きな一文字を、置かれている好きな石に書くもの。
上記右下写真は魚板といい、年の数だけ叩くと、厄をはじき、眠っていた能力が引き出されるのだとか。

秘仏、願掛け不動も12月16日まで公開中。
護摩木に願いを書くと、12月14日~16日まで、3日間の断食にてご祈祷いただけるそうです。


本堂裏には、大きな岩の下でひっそりと佇む赤川観音。
このことより、二度参りの観音様として知られ、難しい願いも、2度参れば聞き届けてくださるとの言い伝えがあるそうです。


庭園は、有名な小堀遠州作。右写真は水琴窟で、これも遠州が考案したものだそうです。
竹筒に耳を当てると、水が作る高い音色が、のんびりのどかに響きます。
あちこちの寺を巡り、古寺に関する様々な著書を持つ白州正子も、昭和44年1月に訪れています。
ここ教林坊をささやかな寺として紹介し、庭園について深く触れられています。


庭園を散策し終わると、書院です。
書院の中に、鬼の角そして、鬼の図である2点の掛け軸が展示されています。
鬼の角は、好き放題していた鬼たちが、聖徳太子の説法によって改心し、
太子に角を差し出したものとして伝わっています。
鬼の図は、その時の様子を現したもの。
もう一つかかる掛け軸は、鬼が鏡を持ち、その中に映るお多福の顔が描かれています。

掛軸庭園、安土町指定文化財です。
後ろに毛氈が敷かれ、季節、気候によって移り変わる、生きた掛け軸を楽しむことができます。
ぼーっと庭園を眺めたり、散策したりしていると、時折新幹線が走り抜ける音が聞こえます。
そのときは、ふっと現実に引き戻されるのですが、すぐに静寂に包まれ、現実を遠くに感じます。
蓄音機から流れる声明(お経に節をつけたもの、お経の声楽だそうです)に心洗われます。
書院の片隅に置かれている蓄音機なのですが、昔からこちらのお寺に保管されていたものだそうです。残念ながら今は使えず、中にCDが入っていて、実際に聞こえてくるのはCDの音色。


書院の奥には、急な階段が備え付けられていました。
上には、招福・縁結びにご利益のある
大黒天さまがいらっしゃるとのこと。
頭上に気をつけながら、切り立った階段を上っていくと、
おられました。
人が数人立てば息苦しくなってしまいそうな位の、
よし葺きの質素な空間の中。
小さな大黒天さまです。




住職さんのお話によると、今年の紅葉は
例年より2週間ほども早く始まったとのこと。
残暑が長く続いたため、紅葉の始まりは幾分遅いのではないかと思われていましたが、必ずしもそうでもないようです。
ただ、色づきのスピードは遅く、今は止まっているとの
ことでした。秋の深まりにつれて、どんな風に染まっていくのか
楽しみでもあります。
写真はビジターズビューロー
住職さんお勧めの風景は、雨風のない日の明かりの中。
庭園の池に映った紅葉だそうです。
池が底なし沼のように深く感じられ、幽玄なひとときとなるようです。


写真はびわこビジターズビューロー
明かりに浮かび上がった、教林坊。
また昼間とは全く違った幻想的な世界に誘われていくのかもしれません
■教林坊 秋のライトアップ 第7回夜の特別拝観
期間:平成19年11月17日(土)~12月9日(日)
時間:17時30分~21時(20時30分受け付け終了)
料金:大人500円 小中学生200円
※情報は2007年11月現在。詳しくは直接お問い合わせください。
※写真は承諾を得て、撮影しています。個人で撮影を希望される際は、住職にお尋ねになってください。
*************************************
教林坊
★住所 蒲生郡安土町石寺1145
★電話 0748-46-5400 46-5539(事務所)
★時間 9:30~16:30
★拝観日 10月1日~12月10日までは無休
それ以外は土、日、祝日、1月1日~3日、ゴールデンウィーク中のみ拝観可能
★拝観料 大人500円 小中生200円
★HP http://www.town.azuchi.shiga.jp/edu/kyourinbou/index.html
★地図 地図はこちら
駐車場の地図はこちら
そろそろ、今年の紅葉はどちらに行こうかと考え始めている方も多いのでは。
安土きぬがさ山にある、西国三十三札所観音正寺の子院の中で、現存する唯一の寺院が教林坊。
かくれ里の寺院として、ひそやかな紅葉の名所としても知られています。
10月からは、寺宝鬼の角と鬼の図の掛け軸を初公開。
一足(二足?)早い、紅葉のお知らせと寺宝を拝みに、初雫がおでかけしてきました。
教林坊は、605年に聖徳太子によって創建されたそうです。
寺名の教林は、太子が林の中で教えを説かれたというのに由来するのだそうです。
教林坊は安土駅からは徒歩50分。
自家用車を使われる場合は、国道8号線に案内板がでています。
新幹線の高架下付近から寺院のある集落に向かう細い道が伸びており、途中迷わないよう
小さな看板で案内されていきます。
今はまだまだ紅葉には早く、行き交う車もありませんでしたが、
もみじが十分に色づく頃には、僅かな道のりではありますが、譲り合いながら
駐車場に向かうことになるのでしょうか?
駐車場には、40台が駐車可。
その付近から、寺に向かって参道が続いています。
こちらのお寺は、今でこそ、立派に手入れされているのですが、長い間無住の状態が続き、
荒れ放題、朽ち放題だったそうです。
それを、現住職が町の力を借りつつ手入れをし、4年ほど前に現在の状態まで
復興されたのだそうです。
駐車場付近から伸びる参道の両脇には、鬼瓦が並べられています。
今回の寺宝の公開に合わせて、檀家さんたちが、あちこちから集めてこられた瓦なのだそうです。
参道の中ほどにある門には、竹でできた杖が置いてあります。
まだしばらく道が続くようです。
お寺へと繋がる道は、石段もありますが、それほど急でもなく、竹林の中を、心地よくあるくことができます。
そして、時折、仏教用語を優しい言葉で説明するものに出会います。少しずつ、仏教の世界へ誘われている気がします。
表門をくぐると、すぐに書院。こちらで料金を支払い、まず庭園へと案内されます。
僅かなアップダウンがあり、様々な方向から庭園が見渡せます。
庭園を進んでいくと、本堂に案内されていきます。
本堂には、実際に撫でることのできる文殊菩薩様。
延命一字写経、石にお経の中に書かれている好きな一文字を、置かれている好きな石に書くもの。
上記右下写真は魚板といい、年の数だけ叩くと、厄をはじき、眠っていた能力が引き出されるのだとか。
秘仏、願掛け不動も12月16日まで公開中。
護摩木に願いを書くと、12月14日~16日まで、3日間の断食にてご祈祷いただけるそうです。
本堂裏には、大きな岩の下でひっそりと佇む赤川観音。
この観音様には伝説があり、近くに住む村娘が子宝祈願をしたところ、懐妊したとのこと。
そして出産の時。
娘は容態が悪くなり、再び祈願したところ、自らの腹に刃物を突き刺すことを指示されたのだそうです。
無事帝王切開で子供は産まれ、娘もすぐに傷がいえたとのこと。
この切開で近くの川が赤く染まったため、赤川観音と言われるのだそうです。
このことより、二度参りの観音様として知られ、難しい願いも、2度参れば聞き届けてくださるとの言い伝えがあるそうです。
庭園は、有名な小堀遠州作。右写真は水琴窟で、これも遠州が考案したものだそうです。
竹筒に耳を当てると、水が作る高い音色が、のんびりのどかに響きます。
あちこちの寺を巡り、古寺に関する様々な著書を持つ白州正子も、昭和44年1月に訪れています。
ここ教林坊をささやかな寺として紹介し、庭園について深く触れられています。
庭園を散策し終わると、書院です。
書院の中に、鬼の角そして、鬼の図である2点の掛け軸が展示されています。
鬼の角は、好き放題していた鬼たちが、聖徳太子の説法によって改心し、
太子に角を差し出したものとして伝わっています。
鬼の図は、その時の様子を現したもの。
もう一つかかる掛け軸は、鬼が鏡を持ち、その中に映るお多福の顔が描かれています。
掛軸庭園、安土町指定文化財です。
後ろに毛氈が敷かれ、季節、気候によって移り変わる、生きた掛け軸を楽しむことができます。
ぼーっと庭園を眺めたり、散策したりしていると、時折新幹線が走り抜ける音が聞こえます。
そのときは、ふっと現実に引き戻されるのですが、すぐに静寂に包まれ、現実を遠くに感じます。
蓄音機から流れる声明(お経に節をつけたもの、お経の声楽だそうです)に心洗われます。
書院の片隅に置かれている蓄音機なのですが、昔からこちらのお寺に保管されていたものだそうです。残念ながら今は使えず、中にCDが入っていて、実際に聞こえてくるのはCDの音色。
書院の奥には、急な階段が備え付けられていました。
大黒天さまがいらっしゃるとのこと。
頭上に気をつけながら、切り立った階段を上っていくと、
おられました。
人が数人立てば息苦しくなってしまいそうな位の、
よし葺きの質素な空間の中。
小さな大黒天さまです。

住職さんのお話によると、今年の紅葉は
例年より2週間ほども早く始まったとのこと。
残暑が長く続いたため、紅葉の始まりは幾分遅いのではないかと思われていましたが、必ずしもそうでもないようです。
ただ、色づきのスピードは遅く、今は止まっているとの
ことでした。秋の深まりにつれて、どんな風に染まっていくのか
楽しみでもあります。
写真はビジターズビューロー
住職さんお勧めの風景は、雨風のない日の明かりの中。
庭園の池に映った紅葉だそうです。
池が底なし沼のように深く感じられ、幽玄なひとときとなるようです。


写真はびわこビジターズビューロー
明かりに浮かび上がった、教林坊。
また昼間とは全く違った幻想的な世界に誘われていくのかもしれません

■教林坊 秋のライトアップ 第7回夜の特別拝観
期間:平成19年11月17日(土)~12月9日(日)
時間:17時30分~21時(20時30分受け付け終了)
料金:大人500円 小中学生200円
※情報は2007年11月現在。詳しくは直接お問い合わせください。
※写真は承諾を得て、撮影しています。個人で撮影を希望される際は、住職にお尋ねになってください。
*************************************
教林坊
★住所 蒲生郡安土町石寺1145
★電話 0748-46-5400 46-5539(事務所)
★時間 9:30~16:30
★拝観日 10月1日~12月10日までは無休
それ以外は土、日、祝日、1月1日~3日、ゴールデンウィーク中のみ拝観可能
★拝観料 大人500円 小中生200円
★HP http://www.town.azuchi.shiga.jp/edu/kyourinbou/index.html
★地図 地図はこちら
駐車場の地図はこちら
Posted by しがまにあスタッフ at 20:00
│蒲生郡