天寧寺

しがまにあスタッフ

2010年10月14日 20:00

彦根藩として井伊家のもとで栄えた彦根には、
今も井伊家と関係の深い史跡や社寺がたくさん残っています。







五百羅漢の寺として知られる『天寧寺(てんねいじ)』には、
彦根藩13代藩主・井伊直弼の供養塔と、
直弼の参謀を務めた長野主膳の墓、
二人を陰で支えた村山たか女の碑が建てられています。

なぜ天寧寺に井伊直弼の供養塔があるのかには、
非常に複雑な事情があります。
もともと天寧寺は、井伊直政が実母の供養のために建てた寺でした。
その後ずっと天寧寺は、井伊藩主の菩提寺の隠居寺であると同時に、
藩主が心を休ませに行く、隠れ家的な場所になっていました。
直弼も青年時代から天寧寺に通い、「萩の寺」と呼んで愛し、
心安らぐひと時を過ごしていたといいます。




井伊直弼が桜田門外の変で命を落とした際、
隠すように持ち帰られた暗殺時の遺品がありました。
表向きは「病死」だと発表していたため、それら暗殺の証拠を
表立って供養することはできなかったのです。そこで天寧寺に埋葬され、
供養塔が建てられることになったのです。





 

井伊直弼の供養塔の側には、長野主膳の歌碑と墓も存在します。




秋になると、萩の花に埋もれてしまうのですが、
ほかの場所に萩を植えてもあまり根付かないのに、
長野主膳の墓の周囲だけは、よく成長するとの話もあるとか。

歌碑には次の歌が刻まれています。
「君がこの今日の出でまし待得てぞ 萩の錦もはえまさりける」




また、ふたりの墓の傍らにひっそりと隠れるように
ふたりを影から助けたといわれる村山たか女の碑もあります。





五百羅漢さんも時間をかけてじっくり拝観したいところです。




亡き親、子供、いとしい人に会いたくば、五百羅漢にこもれ」と
いわれる境内の木造五百羅漢には、必ず自分の会いたい人の顔があるといいます。
過去に亡くした大切な人を偲ぶために、羅漢さんに会いにいくのもいいかもしれません。


 

裏手には近江七福神「布袋尊」や庭園もあります。







坂道を上った上に建つお寺ですので、
彦根の町並みを一望できるのも特徴です。
代々の彦根藩主は、ここから彦根の町を眺めたのかもしれません。



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<拝観料>400円

※情報は2010年10月現在、詳しくは直接お問い合わせください。

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天寧寺

★住所  彦根市里根町232
★電話  0749-22-5313
★開館  9:00~17:00(冬は16:00まで)
★休館  無休
★地図  地図はこちら


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