栗東自然観察の森 観察会

しがまにあスタッフ

2007年06月07日 20:00

初夏らしいさわやかな日が続き、緑もいちだんと勢いを増す季節。
まちを離れ森へ一歩踏み込めば、そこは日々変化に満ちています。

そんな普段気付くことの少ない身近な自然の魅力を
たっぷり感じることができるのが「栗東自然観察の森」。
昨年は秋の園内のようすをご紹介しましたが、
今回は毎月、土日を利用して数回行われている「自然観察コース」と
「ミニクラフト」を体験レポートでご紹介します。



指導員の解説を聞きながら森を歩いて観察するこの催し。
参加費は無料で、事前申し込みも不要。だれでも気軽に参加でき、
参加したこの日も、小さな子どもから小学生、
年配のグループやカメラ片手に訪れる人など実にさまざまでした。



お昼すぎの1時半にネイチャーセンターへ集合し、
午後3時まで、森のなかを散策します。




まず最初の教材となったのがクヌギ。



実は「どんぐり」としておなじみですが、この実が成るのに
花が咲いてから2年も掛かるってご存知でしたか?
写真右は、実になってから1年目の、いわばどんぐりの赤ちゃん。
幼いころから身近な木の実なのに、詳しいことは知らないものなんですね。




こちらはアジサイ。左はよく目にするヤマアジサイですが、
右は1959年に六甲山中で見つかるまで幻のアジサイといわれていた「七段花」。




葉に模様のようなものが描かれていますが、子どもたちのイタズラ、ってわけではありません。
線の正体は「ハモグリバエ」というハエの幼虫。薄い葉の間をモグラように食べ進むんだとか。

右の黄色い花はニガナ。名前に「ナ」が付けられている野草は
昔は食べられていたという名残なんだそうです。



一行は観察を進めながら森の奥の池へ向かいます。



覗き込んで、よーく目を凝らして観ると・・・
いたいたっ! トンボにアメンボウ、メダカまで!




指導員の方が草の茎からすくいとってきたのは「泡」のかたまり。
さわってみるとフワフワしています。これは一体なんでしょうか??



実はコレ、「アワフキムシ」といって、虫自体は米粒大のセミの仲間。
身を守るための泡の正体は、なんと「おしっこ」なんですって!
いや~~~!! 触ってしまいましたよ(泣)
しかも、おしっこをオナラで泡立てているというんですから、
なんとも奇抜な自己防衛法ですよね。




なんのことはない、崩れかけたようなガケも
よく観ると「ハンミョウ」の棲家なんだそう。
まるで丸箸を突き刺したようにきれいな巣穴です。
ハンミョウは、人が歩くと常に一歩先を行くように進むため
古くから「ミチオシエ」の虫とも呼ばれています。
そういえば道路公団のキャラクターもハンミョウでした。



ここで実験タイム。指導員の方お手製のアメンボウ。
ハリガネ製ですが、ちゃんと水に浮きます。



さきほどの池で汲んできた水に、浮かぶハリガネアメンボウ。
ところが、ここに洗剤を一滴垂らすと……見る見る沈んでしまいました。

これは洗剤の中に入っている界面活性剤のせい。
つまり、池や川にたった一滴の洗剤が流れ込むだけで、
アメンボウたちは溺れ死んでしまうということです。
この結果には、身近な暮らしを振り返らずにはいられません。



こちらは「クスノキ」。一枚葉っぱを拝借して、指先で潰します。



全員で回して匂いをかいでみますが、覚えのあるようなないような…。
指導員さんから正体を聞いて納得、これはタンスの防虫剤として
よく使われていた「ショウノウ」の香り!
昔は樟(クスノキ)から取っていたから「樟脳(しょうのう)」なんですって。




またもや葉っぱに模様が。どの虫の正体かしら…?と思っていたら
こちらは葉そのものの模様なんだとか。「ミズヒキ」というそうです。





白い花がいくつも垂れ下がるように咲いている「エゴノキ」。
花にまぎれて、丸まった葉がぶら下っていました。



なかにはオトシブミという虫の幼虫がいます。
エゴノキに卵を産むのはその一種「エゴツルクビオトシブミ」。
親が器用に葉をくるくる巻いてゆりかごを作る様子を図解してもらいました。



左はヘビイチゴ。もちろんヘビは肉食なので食べません。
あまりにもすっぱいので昔の人はヘビぐらいしか食べないだろう、と思ったんでしょう。
右はスイカズラ。蜜がとっても甘いので、蜜を「吸う」蔓(かずら)、という意味。


ユリノキの葉っぱ。何かに似てると思いませんか?

そう冬の防寒具「袢纏(はんてん)」。ゆえにこの木はハンテンボクとも呼ばれているとか。


足元でプツリ、プツリと潰れていたのは「サクランボ」。


食用ではないので実も小さく硬い。
イメージと違うのは実が上を向いていること。
花が上に向いて咲くんですから、まあ、当然といえば当然か…。


こちらはグミ。黒く見えるほど熟れているものが甘いのですが、
そのころには鳥が食べてしまいます。


赤い実を食べてみましたが、うう~っ!まだまだすっぱかった!!


秋にはおなじみのイロハモミジも、いまの季節は様子が違います。


竹とんぼのように見えるのはモミジの種。
木の真下へポタリと落ちたのでは木陰になって上手く育たないため
羽を利用して風に乗り、より遠くへ着地するんだとか。


よく目にしているはずの木や草花も、ほんとうに知らないことばかり。
ご紹介したのは観察コースのほんの一部です。
自然は奥深い魅力に満ちているんですね。



観察コース終了後は、ネイチャーセンターへ戻って「ミニクラフト」を体験。
コース(13:30~15:00)の前後に実施されています。



ここでは「JVR(ジュニアボランティアレンジャー)」という
環境リーダーを養成するグループが組織されているのですが、
小学4年生から中学3年生までのメンバーが催しをサポートしていて
ミニクラフトを教えてくれたのも、小学生のメンバーたちでした。



今回挑戦するのは「森のネームプレート」。参加費は30円。
職員のみなさんが森で集めてきた木の実や枝が材料。



メンバーのみなさんに教えてもらいながら、まずは台座に名前を書きます。



バランスを見ながらホットボンドで貼り付けていけば、完成!
どうですか? なかなかの出来ではないでしょうか?



ネイチャーセンターでは、テーマ展示も行われていて
今回の題材は「地球温暖化」。こちらもみんな手作りです。


「地球のために出来ること」と題した寄せ書きコーナーもありました。




森のしくみを紹介する常設コーナーのほか、
森のキャラクター「名探偵りすじろう」の謎解き問題は
栗東市の広報誌と連携してテーマが設けられています。


水生生物たちもいて、こちらのナマズはどの職員さんたちよりも古株なんだとか。


JVRのほか、森で自由な遊びを体験する「サークルJ」の取り組みも進んでいて
それらをサポートする「サークルJ見守り隊」の隊員も募集中とか。


ほかにも毎週のように催しは盛りだくさん。
イベントや観察会の情報は、こちらでチェックしてみてください。



※情報は2007年6月現在。詳しくは直接お問い合わせください。



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栗東自然観察の森
★住所   栗東市安養寺178-2
★電話   077―554-1313
★開園時間 9:00~17:00
★閉園日  火曜(祝日の場合は開園)
★入園   無料
★HP   http://www2.city.ritto.shiga.jp/mori/
★地図   地図はこちら


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