長寿寺と紅葉の湖南三山

しがまにあスタッフ

2011年11月03日 20:00

間もなくやってくる紅葉のシーズン。滋賀にもたくさんの観光客が訪れますが
今回はひと足早く、その見どころをご紹介したいと思います。

訪ねたのは「湖南三山」のひとつ「長寿寺」。

こちらは例年の紅葉のようす。

(写真:びわこビジターズビューロー)

湖南三山とは、湖南市にある天台宗の3つのお寺。
「長寿寺」「常楽寺」「善水寺」。

紅葉の美しさでよく知られていますが
いずれも「国宝」をもつ名刹。


紅葉が見ごろをむかえる
11月12日(土)~30日(水)までは「国宝 湖南三山めぐり」と題して、
各寺の境内で特別販売やイベントも行われ、便利な臨時バスも運行します。







京都や奈良の大きな観光寺院とはひと味違い
いくつもの寺宝を豊かな自然のなか、間近でじっくり鑑賞できるのが大きな魅力です。


仏像や仏教建築はいまひとつわからないから…と思っていても
素朴な信仰が守られている静謐な空気のなかに足を踏み入れてみると
自然とその美しさに引きつけられます。



「長寿寺」があるのは、阿星山の北東麓。
常楽寺の西寺に対して東寺と呼ばれてきました。



山門から奥へと続く参道には、色づきはじめた枝もありました。



参道の奥が本堂。右には護りの白山神社があります。


紅葉のシーズンともなると、山門からは錦のトンネルに。


(写真はいずれもびわこビジターズビューロー)


ここは奈良時代の天平年間(729~749)に創建されたお寺で
奈良の大仏で知られる聖武天皇の勅願で、良弁僧正によって建立されました。

昔は山一帯に大伽藍があったそう。



楓が枝をさし交わすなか、赤く灯る千両の実に導かれて歩いていくと
見えてきたのは国宝の本堂。



鎌倉初期の建造といわれ、寄棟造り、四面に回廊が廻らされ、軒の低い桧皮葺です。
建築構造に鎌倉より前の藤原時代の名残をとどめているといわれています。



本堂の内陣にある「春日厨子」は国宝。

文明12年(1480年)につくられたもので秘宝の「子安地蔵尊」と
脇士に「観世音菩薩」と「毘沙門天」が安置されています。

子安地蔵様がご本尊なので、こちらには子宝祈願、安産祈願
訪れる人も多いんです。


御開帳は50年に一度だけですが、来年秋はお姿を見られるそうです。


本堂を裏の収蔵庫あたりから望む。


ほかにも、阿弥陀如来坐像、釈迦如来坐像を安置。

また、収蔵庫には約3メートルの丈六阿弥陀如来坐像も収められています。
いずれも重要文化財。


写真ではお伝えできませんが、どちらも藤原時代のものともいわれ
穏やかなお顔をみつめていると、心がほっと暖かくなるよう。
ぜひ足を運んで参拝してみてください。



本堂よこにある「弁天堂」も重要文化財。



こちらは一説では文明16年(1484年)の建立とか。



本堂の左後方、小高い山になっている木立のなかには礎石が残っています。



これは三重塔の跡。
近江の主要な天台伽藍には必ず三重塔が配されていましたが
長寿寺の塔は、天正3年(1575年)ごろ、織田信長の手によって
安土城山中の信長の菩提寺に移築されたんだとか。

塔は安土落城とともに失われたのでしょう。
ここにあれば、その姿をいまも見られたでしょうに、残念です。




本堂へ続く参道脇には、石造多宝塔があります。

聖武天皇の菩提を弔うために
鎌倉時代に建立されたといわれ
いまは相輪が欠け、木立のなかに
ひっそり立っていますが
それだけに侘びた趣を感じます。








本堂から階段を上がったところにあるのは
長寿寺の鎮守守「白山神社」。



拝殿は重要文化財です。


境内を歩いていて気が付くのは、花が多いこと。



地域の方が手入れをされているそうで、季節の花が咲いているのはもちろん
美しく生けられたものもあり、参拝者に憩いのスペースも用意されていました。




参拝受付で、ふと目についたかわいいクッキー。



「長寿の釣り鐘」と書かれていて、このお寺の鐘を模したもの。

赤ん坊の初参りの際、男の子なら一つ、女の子なら二つ、鐘をつき
健やかな成長と長寿を祈るのだそう。

このクッキーも地元の方がおつくりになっているのだとか。





長寿寺を出たら、ぜひ湖南三山「常楽寺」へも。
(こちらは紅葉の時期以外の拝観は予約が必要です)

枝も少し色づきはじめていました。



こちらも長寿寺と同じ、奈良時代、良弁僧正による創建。

本堂と三重塔は国宝で、本堂に収められた「二十八部衆」は圧巻。見応えありです。



こちらは例年のようす。

(写真:びわこビジターズビューロー)




また、ちょっと足をのばして「善水寺」へもぜひ。


(写真:びわこビジターズビューロー)

こちらは以前にもレポートしています → くわしくはこちら


深まりゆく秋を楽しむのに、おすすめの古刹です。






※情報は2011年11月現在。詳しくは直接お問い合わせください。

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阿星山 長寿寺
★住所    湖南市東寺5丁目1‐11
★電話    0748‐77-3813
★拝観時間 9:00~16:00
★拝観料   500円

★地図    地図はこちら        



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