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しがまにあ

2008年05月29日

甲賀流忍術屋敷

信長の安土城に、井伊家の彦根城。
滋賀には歴史に大きな功績を残した人々の史跡が数多くありますが、
そのなかで決して裏舞台に名を残すことなく暗躍しながら
いまや世界各国に名を轟かせているのが「甲賀忍者」。

甲賀流忍術屋敷

その真の姿に迫る歴史遺産が、甲南町に残る「甲賀流忍術屋敷」です。
江戸時代の建築とされ、300年前の姿をいまに伝えています。

甲賀流忍術屋敷甲賀流忍術屋敷
JR甲南駅から南や約1.3キロの竜法師集落にあるこの博物館。
ここから車なら5分、駅前のレンタサイクル(1日500円)を
利用すれば約15分の道のりです。

甲賀流忍術屋敷甲賀流忍術屋敷甲賀流忍術屋敷

古い集落の家並みのほぼ中央。見えてきたのは茅葺の民家。
甲賀五十三家の筆頭格だった「望月出雲守」の屋敷で、建築は元禄年間
全国はもとより、海外から取材や撮影に訪れることも多いのだとか。

一見すると平屋建てのよくある茅葺農家ですが、内部は3階に分かれ
いろんなカラクリが随所に仕掛けられています。

甲賀流忍術屋敷甲賀流忍術屋敷
拝観料は大人600円、小学生300円。
表玄関を上がると、まずは座敷に案内され、お茶を薦めていただきました。

甲賀流忍術屋敷甲賀流忍術屋敷
見学者のみなさんが飲んでいたのは「健保茶」。
薬草に精通していた甲賀忍者たちが考案したといわれるお茶
飲みやすく改良したもので、珍しさに誘われて口にしてみると
かなり香ばしく、とっても美味。おみやげにも出来ます。


甲賀流忍術屋敷甲賀流忍術屋敷
忍者のなかには薬を行商した者も多く、その名残なのか
いまも甲賀地域には製薬会社がたくさんあります。

ここは長らく当主の望月家の住まいでしたが、近代に入って
近江製剤株式会社の社屋としても利用されていました。

その代表取締役で現在同館の案内役を務めておられる福井實さん
地元史に詳しい歴史の語り部のお一人。

「映画やテレビの影響で、長年忍者は妖術使いや暗殺者集団のように
 描かれていましたが、実質は力のあった郷士たちが武器をもち
 情報収集やゲリラ戦を得意としたところから始まりました。
 とくに薬草や火薬に関する知識が豊富で、それを大名たちに重用されたようですね」。

甲賀流忍術屋敷実はこの家が忍者屋敷だったという
ことがわかったのは昭和30年代に入ってからのこと。
「私も幼いころからこの家に出入りしていましたが、
変わっているな?とは思いつつも、
みんなが普通に暮らしておられたんです」
と福井さん。

忍者はもともと隠密行動を旨としていたうえに、
忍術などの記録も口述で門外不出だったため、
祖先が忍者だったことを知らない家人も多く、
近代に入り、蔵から古文書がみつかって
初めて知ったという家もあるのだとか。












家に施されたカラクリも敵を倒すためというよりは
家人を守るためのものが主で、外敵からの備えは強固。
甲賀流忍術屋敷甲賀流忍術屋敷
土蔵の扉には縞模様のように鉄が埋め込まれ、斧や鎚で壊せないようになっています。
これは土蔵の壁や屋根にも仕込まれているそうです。


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ここは主人一家の寝室。他の部屋がふすまで仕切られているのに比べ
ここを取り囲むのは厚い木の扉。ずっしり重く、簡単には開きません。
重さを支えるため、敷居には鉄のレールが敷かれていました。
開きにくい扉に足止めされているうちに家人が逃げるという寸法。


甲賀流忍術屋敷甲賀流忍術屋敷
左側の押入れ。なにやら忍者が描かれていますが、その奥はどんでん返しに。
いざというときはここへ隠れ、廊下へ逃げられるようになっています。


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右側の押入れを開けると、ここにも忍者! 
ここからは天井はもちろん、床下にも抜けられます。


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こちらの金網の窓は一見、はめ込み窓に見えますが
壁との間に紙を差し込みスライドさせると開く仕組み。一種のカードキーです。
開くように見えない窓から逃げれば、追ってからは消えてしまったように見えますよね。


こちらは有名な「どんでん返し」。テレビなどではくるくる回る回転扉のように回って
身を隠す姿が描かれることが多いのですが、実際の仕組みはより巧妙。

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板壁の右側を押すと回転し、その奥は通路になって、入れば姿が隠れます。


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まわった扉は何事もなかったかのように反転して通路の「フタ」に。
回転軸が少し右寄りに作られて、左半分が少し長いため、扉は右側の縁に当たって
ピタリと止まる仕掛け。回りっぱなしでは逃げる姿が見えてしまいますものね。


甲賀流忍術屋敷
さらにこの扉は一度逃げ込むと
右側からは入れません。
たとえここへ逃げる姿を
見られたとしても
追っ手は人間の習性として
逃げた人が入った側(右側)から
入ろうとします。
追っての足を一瞬阻むことで
より遠くへ逃げるというわけ。













しかも、どんでん返しのすぐ下はおよそ6mもある深い穴。
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ここへ敵を追い込み、落としたという説もありますが
穴の奥にはさらに横穴が掘られ、屋敷外へ抜ける抜け道にも
なっていたと考えられるそう。いまはここに地下水が湧いています。


ふすまを開けると隠し梯子が。梯子を引き上げると中二階は孤立した空間になります。
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中二階の天井は高いところでも1.5m。下の座敷が見える場所もありました。
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敵が容易に刀を振り回せない構造になっていて
一方忍者は刀身が短い忍者刀を使うため、戦いはだんぜん有利に。

中二階からさらに三階に通じ、縄梯子を使えば一気に1階へ降りることもできます。
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館内には実際に甲賀忍者がしようしていたという小道具なども展示され
彼らの知恵と工夫には驚かされるばかり。

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こちらは寛政元年(1789年)に甲賀から江戸幕府へ謙譲された
「萬川集海」という全二十二巻の忍術書。
数少ない記録の一つといわれていますが、果たして極秘を第一にする忍者が
すべてを書いたのでしょうか…。まだまだ隠した秘密があったのでは?


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おなじみ「手裏剣」に「まきびし」、狭い場所でも役立つ刀身の短い「忍び刀」。


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「水蜘蛛」は靴のように履いて水の上を歩いたのではなく、
実際には跨って使う“携帯ボート”のようなものだったようです。
長い歯のついた下駄はスキューバダイビングの「足ヒレ」代わり。


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「鎖帷子」のほか、早く走れるように草鞋に「スパイク」を付けることもあったそう。


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「仕込鉄砲」は巧妙な作り。鉄砲や火薬の技術に優れた忍者ならではですよね。


そして、ここで人気なのが忍者気分を味わえる「手裏剣道場」。
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まずは福井さんに見本を見せていただきました。さすがにお見事!
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見よう見まねで私も挑戦!!
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あら? あれれ? がんばってみたのですが、投げては地面にボトリ。
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なかなかまっすぐ飛ばず、結局、的中したのは10投中1つだけでした…。
手裏剣投げは5投200円、10投300円です。


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忍装束に変身することもでき、忍者気分で記念写真もおすすめ。
からくりの前でいろんなショットを撮ることができます。1時間500円。
忍装束は買うこともできます。子供用・大人用もありました。


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甲賀忍者の歴史やこの屋敷の詳細が紹介された本。これで忍者通に!


お土産売り場も充実していて、はもちろん忍者グッズばかり。
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手裏剣に苦無(クナイ)。こちらはゴム製ですが、ホルダーに入った金属製のものもありました。
最近はコスプレ用に購入していくマニアも多いんだとか。なるほど!

さきほどいただいた「健保茶」は写真の巾着入りで450円。
200g1100円、500g2100円。たくさんの方が買い求めてらっしゃいました。


まだまだ紹介しきれない秘密がたっぷりの甲賀流忍術屋敷。
公式ホームページには詳細な情報や忍者の歴史がわかりやすく紹介されていて
読み応えたっぷりです。出かける前にぜひチェッをおすすめします。

甲賀流忍術屋敷

謎の多い忍者ですが、この屋敷に来るとなんだがぐっと身近になりました。
忍術って特別なことでも何でもなく、知識の積み重ねと工夫の賜物なんですね。
忍者の真の姿に迫るのはもちろん、郷土の歴史を知る貴重な体験ができました。


■入館料   大人600円 小学生300円 幼児無料
■手裏剣道場 5投200円 10投300円
■忍装束体験 1回1時間500円





※情報は2008年5月現在。詳しくは直接お問い合わせください。

*************************************
甲賀流忍術屋敷
★住所  甲賀市甲南町竜法師2331
★電話  0748―86-2179
★開館  9:00~17:00(入館は16:30まで)
★休館  無休(年末年始のみ休館)
★HP   http://www.kouka-ninjya.com/index.html
★地図  地図はこちら



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Posted by しがまにあスタッフ at 20:00 │甲賀
この記事へのコメント
甲賀市忍術屋敷も、楽しいですね~!又、同じ、甲賀市甲賀町の甲賀忍術村も、楽しいですよ~!GWの時とかは、幾らか払って、くの一体験とかが出来たりするんです。またまた、一度、行って見て下さい。
Posted by タラコ唇 at 2009年03月08日 20:31
タラコ唇さま

コメントありがとうございます! スタッフのふみさーです。
忍術屋敷は本当に見ごたえありました。
どんでん返しや隠し扉など、テレビや映画では見たことありましたが
実際に使われていたんだな~と思うと驚きの連続で!

そして「忍術村」ですが、
実は今週のこのコーナーで紹介予定なんです。なんてタイムリー!
ぜひお楽しみに~。
Posted by ふみさー at 2009年03月09日 20:29
ヤッター、ヤッター、ヤッターマン♪(笑)嬉しいです。今週の木曜日何時頃に、取材しにいくんですか~!?
Posted by タラコ唇 at 2009年03月10日 11:20
タラコ唇さま

再びコメント、ありがとうございます!!

先日、忍術村さんへの取材を終えまして
現在、担当スタッフが記事をまとめている真っ最中です。

忍者になりきり(?)体当たりの体験取材をしておりますので
ぜひぜひご期待ください!
Posted by ふみさー at 2009年03月10日 22:30
はい。楽しみにしてます。(笑)
Posted by タラコ唇 at 2009年03月11日 10:16
すごい!
行きたい!!
Posted by ゆぅ at 2011年10月12日 13:46
すごい!
行きたい!!
Posted by ゆぅ at 2011年10月12日 13:47

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